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2020年3月4日水曜日

2020年2月15日 研修会報告


「地域日本語教育の可能性を考える(2)
   -だれが・だれに・何を・何のために「教える」のか」

今回の研修会は昨年に引き続き池上摩希子先生にお話ししていただきましたが、昨年参加された方も多く、70名近い参加者がありました。
まず、「地域日本語教育」をどう捉えるか、社会の動きに連動してきたこれまでの流れ(確立と展開)、それから現状と課題について考えました。
その中で現状として、国内の日本語学習者の統計で、公的機関で学ぶ学習者の数は明らかであっても、それ以外(地域)で学んでいる多くの人については、その人たちの学ぶ「場所」や「当事者」(だれが/だれに)を明示的にするのは難しいということ、またそれらの学習者は社会的に周縁におかれ、学習者だけではなく支援者も多様であるということが分かりました。
次の「課題の検討」では、教室には様々な課題があり、「だれが・だれに、何を・何のために『教える』のか」という議論において、行政の保障や支援、働きかけやコーディネーターとの協働が必要なこと、ノウハウだけ積み上げても解決にはならない教育的課題があることが示されました。
このことから、地域日本語教育は学習者も支援者もそれぞれに違う理由で参加し、学習の期間や教材なども一定ではない(動的で複層的である)。このような状況には、固定的で、一元的な方策では対応が難しいとされるが、この「多様性」という課題の中で「可能性」をどこに見て、どう生かしていくかを考えていかなければならないということを学びました。
今回も具体的な活動の方法として、2つのワークショップを体験しました。参加者同士で「自分のことを話す」ことで、対話の楽しさを実感し、それぞれの教室で活用したいという声が今回もとても多かったです。
事例紹介では、学習者の実際の声による「わたしたちのストーリー」の実践から作られた教材が紹介され、多くの方が興味を持たれたようでした。また、これも「可能性へ」の一つの提案だと思うという参加者の意見があり、同感ました。
 最後に日本語教育推進法の理念の一つから、「外国人も日本人も共に地域社会で生きていくための日本語を学ぶ」ということを伝えられました。

<研修会の様子>